道具のデジタル化2
来日して日本語を勉強し、その後、研修や進学をする人たち。
およそ15年前は、みんな日本に来るとコンパクトカメラを買いたがった。
今はどうだろう。
デジカメ、パソコン、MP3プレイヤー、ビデオカメラ…。 日本へ来たときに、既にかなり最新式のを持っていて、日本で買いたいというものは、私も持っていないものが多かったりする。
何年前だったか、 「一緒に写真を撮りましょう」 と言われたとき、カメラにリモコンがついているのを見て私がびっくりしてしまった。 ええっ! イマドキのカメラはリモコンなどついているのか…。 彼は、私がびっくりしたことにびっくりしていた。
そもそも、学校というのはかなりアナログな所なので、そこで教える者のデジタル化は世間よりかなりのんびりしている。
若い留学生の場合は、メールやパソコンは使えて当たり前の生活をしている人が多い。
授業で行うワークの発表など、彼らは「普通」のことをしているだけなのに、きれいなプレゼンに教師の方が感動してしまうことも。
でも、そんなことに激しく感動すると、「ああ、パソコンを使って発表すると成績が上がる」 などという誤解を与えかねないので要注意だと個人的に思う。
教室内でよく使われる道具も、これからどうなるのか、ちょっと心配だ。
代表はテープデッキとビデオデッキ。
カセットテープの方は、もはや世間一般では化石化しつつある。 世の中は、CD, MD、 MP3プレイヤー。
生教材を使うときに、学生に録音のためカセットテープを持ってくるようになどと注文を出すと、「プレイヤーを持っていない」 と言われる。 当然だ。
一昔前なら、「音楽も聴けるから買ってください」と言えたが、今、そんなもので音楽を聴く学生は、たぶんいない。
でも、カセットは語学の練習にとって捨てがたい魅力もある。 一部分を戻すとき。 指でボタンを押した分だけピュルピュルと戻るので、結構、感覚的にぴたりと戻したいところまで戻せる。 ピュルピュルパッと一発で頭出しができたときの充実感・満足感は、説明しがたい。
これがCDやMDの戻しだと、どうもピタリといかない。
ビデオデッキも、どんどんDVDやハードディスクに取って代わられている。
10年後の教室道具はどうなっているのだろうか。