草の根交流 | ~人とコトバ~

草の根交流

中国や韓国など、日本のすぐ近くの国との関係が悪くなっている。 心配だ。

 

日本で学ぶ留学生や研修生と接していると、いろいろな国のことを直に知ることができる。 それは、私たち日本人と、来日している彼らの間だけではない。 たまたま同じクラスやコースに在籍することになった彼ら同士の間でも、「国際交流」がある。

 

最近は時代が変わり、主にアジアの諸地域から来る彼らも経済的に余裕のある人が増えた。あちこちの国へ遊びに行ったことがあるという人もいる。 しかし、数えれば、今回日本へ来たのが初めての「外国」だという人が多いだろう。 そんな環境の中で、国や地域の混ざったクラスは、まさに小さな国際社会だ。

 

政治的に関係の微妙な国同士が含まれていると、「大丈夫かな?」と、こちらが先に気を回してしまうこともあった。 インドとパキスタンとか、中国と台湾とか、その他いろいろ。 しかし、顔が見える相手とは何の問題も起こらないものだ。 誰よりも、彼ら自身が、会って親しくなるにつれ、「な~んだ、普通に話せる相手だな」という明るい気持ちを持つのではないだろうか。 クラスの中に小さな友好が生まれることが妙に嬉しい。

 

メディアに流れる国同士の政治問題には、個人の顔が伴わない。 反発感情はどんどんエスカレートする。 だから恐い。 中国はケシカラン? でも、私が知っている中国の○○さんも△△さんも、みんないい人。 日本人と考え方は違うけれど、みんないい人。 そう言える個人的なつながりのある人は、反発心がどんどんエスカレートするなどということはない。 つまり、今必要なのは、顔の見える草の根交流だ。

 

でも、自分にはそんなチャンスがない…。 そう思っている人は、まず市役所で聞いてみよう。 今は、「国際交流協会」というものが、何らかの形で地域にあるはずだ。 地域に住む外国人と話す機会ができるだろう。 広報を見ていると、日本に住む外国人による講演会や料理教室、ホームステイの受入先募集など、実に様々な催しが載っている。 日本語学校が近くにあれば、ホームページをのぞいてみたり、ふらっと遊びに行ってみたり。 日本語会話のボランティアを募っているかもしれない。

 

今までまったく機会のなかった人にとっては、始めの一歩はエネルギーのいることだ。 でも、きっと楽しくなる。 国際問題のニュースの見え方も変わってくる。 

 

国同士の政治的関係と、個人レベルの国境を越えたおつきあいは別物だ。

でも、家にこどものいる人は、ニュースを見ながら安易に「中国は…」「韓国は…」「イラクは…」と断定的な批判をしてはいけない。 こどもは端的に「中国の人は悪いんだ」と思ってしまいかねない。 デリケートなだけに、すごく恐いことだ。 もちろん、歴史的な問題など、いろいろ含めて状況をきちんと説明すればいいし、それが理想だ。 でも、それをしないのなら、何も言わない方がましだ。