地震 | ~人とコトバ~

地震

またスマトラで地震が起きた。

ニアス島の建物が倒れている様子が目に飛び込んでくる。
ニアス島は、数年前に日本で探検番組が流行っていた頃に「秘境」の
ひとつに挙げられていた。

メダンはドリアンのおいしいところだったが、私の記憶違いでなければ、
「最もおいしいものはニアスから来る」、と現地の人が言っていた。

住んでいた頃、あの東南アジア一帯には地震はない、と言われていた。

何の根拠もなかったと思う。
しかし、伝統的な家屋はもちろん、植民地となってから建てられたものも、
とても「耐震構造」にはなっていない。
日本のように、「いつ来るやも知れぬな」どと思いながら生活はできない。

日本に来る留学生の多くが一番恐れているのが、地震だ。
新潟、福岡、大津波、と、「まさか」の場所に続くとどうにも偶然とは
思えず、小さな地震をよく経験している日本人でも底知れぬ不安にかられる。

経験のない外国人はなおのことだ。
日本語クラスでは、前の晩に地震があった日は、地震の話で始まり
地震の話で終わる。

涙が止まらなくなり、日本に来たことを後悔した、という学生もいれば、
周りの女の子がきゃーきゃー言うのを尻目に、「おもしろかった」などと
強がる男子もいる。

火を消す、机の下にもぐる、ドアを開ける、など、常識的なことを教えるが、全て自分が経験したことのある震度3程度を想定しているにすぎない。
それ以上のものが来たらどうなるのか。
実感できない。

先日、住んでいるマンションの防災訓練があった。

担当者が言う。

「この辺は地盤がいいので、この建物も震度6ぐらいでは問題ない」

「じゃあ、「7」だったらどうなるの?」

小学生の息子は、余計不安になってしまい、昨今そればかり心配している。

備えあれば… しかし、心配しても仕方ないこと、備えられないこともある。そのバランスが難しい。